西中VOICE

「反応」という名の「自己表現」

春から自分のクラスの生徒たちに口を酸っぱくして言っていることが1つだけある。

それは”反応しよう”ということ。

問いかけても反応が薄い。表情に表さない。何を考えているのかさっぱり分からない。テレビ、ゲーム、スマホという一方通行な世界の影響で、”対”話していないからなのか。そうだとしても、いや、そんな時代だからこそ、西中の生徒たちには、”反応”という”自己表現”をしてほしい。

 

そんなある日、テレビを見ていると、今大注目のあのテニスプレーヤー錦織圭選手について松岡修造氏が話していた。

小さい頃から錦織選手のその才能は抜きんでていたらしい。(まぁそんなことは容易に想像できる。)

しかし、錦織選手が一番苦手だったこと。それは、「自分を表現すること」だったようだ。松岡氏曰く、「勝ちたい」「上手くなりたい」という闘志や「悔しい」という思いがまったく伝わってこない。技術は確かにある。でも、こいつは本当にやる気があるのか、そう思っていたらしい。

「伝わってこない。だから観客が本気で応援してくれるはずがない。それでは世界で戦う選手にはなれない。」

そう思った松岡氏は小さな錦織選手に徹底的に「自己表現すること」を求めた。映像では、全国のトップ選手が集まる強化合宿で小学校低学年の錦織選手が泣きながら「僕に必要なのは自分の思いをもっと伝えること、表現する力をつけて世界で戦えるような選手になりたい」と言っている様子が映っていた。

それでもテニスコートではなかなか表現できない。技術は抜きんでている。しかし、一人で淡々とプレーしているだけにしか見えなかった。オーバーリアクションをしろという意味ではない。しかし、「闘志が伝わらなければサポーターを味方には出来ない。味方に出来なければ試合には勝てない。」

そして10年後、現在の錦織選手。アウェーであっても闘志を体全体で表現し、超満員の観客を味方にプレーしている。そしてつかむ世界トッププレーヤーの地位。松岡氏の言いたかったことはこういうことなのか。やはり「伝える」ことは大切なのだと改めて思った。

それは一般人の私達であっても同じことではないか。

 

話が少しそれたが、反応の大切さを話し続けて約半年になるが、最近彼らの様子が変わってきた。

問いかけるとうなずく。首を振る。笑う。嫌がる。当たり前のようだが、この変化はとても大きい。”えー!やめて〜!”そんな声すら嬉しい今日この頃。

 

彼らを変えたのは”経験”ではないか。

「学校見学会で小学生に教えた。けど、みんな緊張していて、反応があまりなくて困った。その時、反応の大切さが分かった。」

「みんなの前でスピーチしたとき、すごく緊張したけど、うなずいてくれる人がいて嬉しかった。反応って大事なんだと思った」

「呼びかけをしたときに、みんなが反応してくれて、ちゃんと聞いてくれているんだと分かって嬉しかった。」

 

日々の活動、部活、行事…

前に立つこと、教えること、そんな”経験”が増えてきた。だからこそ分かった”反応”という”自己表現”の大切さ。

 

自己表現をし、自分の気持ちを伝えられる。

そんな彼らには、きっと多くのサポーターがつく。そう信じている。

 

(教員KM)





























































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