論文を書く
中学2年生の理科探究授業、今は大詰めで論文作成に取り組んでいます。この一年間、自分で決めた研究テーマについて、実験方法を考えこつこつと実験データをとってきました。
この授業では、自分自身が興味を持ったことを探すことから取り組みが始まります。傘から落ちるしずく、野菜が育つ自宅の畑、好きなラジコンカーの走行性能、暖かいダウンジャケット、花粉用マスク・・・ テーマの根っこは、このように身近な経験ばかりです。5月頃から実験材料をあつめ、試行錯誤が始まります。思いついた測定方法や比較実験によってデータがとれると勢いがつきます。測定方法を考え出すために1ヶ月以上かかることもあります。期待したほどデータがとれず途方に暮れることも少なくありません。
1月から論文の準備に入りました。ルールは、A4で2ページ・理系論文の体裁であること。そして、STAP細胞の事件もあって「科学する者」の約束を守ること。文章とグラフ・写真だけで説得力のある論文を作ることは、実験の考案とはまた大きく異なる困難が生じます。結果から結論を論理的に導いているか、結論からそれが何を意味するかを想像しているか、下書きから何度もチェックを受けながら悪戦苦闘が続いています。今週になってようやく清書OKが出始めました。
与えられた方法に従うのではなく、自分で生み出すこと。うわべの知識を集める技術ではなく、自分の中にある問いに挑戦すること。試行錯誤すること、途方に暮れること。借り物を集めて誇るのではなく、やっとたどり着いた小さな成果を謙虚に見つめること。これらのすべてが「探究」の目的です。
論文原稿を見ていると、いかにも生徒たちは自信なさげです。たどり着いた事柄があまりに些細なことに思えてしまうからかもしれません。些細ではない、と気づくのは発表の時です。いつの間にかマスクやダウン、土について専門家になっている自分に気づくからです。3月の発表を心待ちにしています。(教員YH)
写真は、中間発表会の様子:iPad経由で上映し、研究の概要を発表しているところです。